2010年12月より始まった,「」(以下,RO)日本一の対人戦ギルドを決める「Ragnarok Online Japan Championship 2011」(以下,RJC2011)。参加ギルドを8つのブロックに分けて行なわれた予選ブロックだが,2011年4月24日に行われた決勝戦で,ついにRJC2011決勝トーナメントに出場する8チームが確定した。
今回,ガンホー?オンライン?エンターテイメント(以下,ガンホー)で,このRJC2011予選ブロックの決勝戦を観戦してきたので,さっそくその模様をレポートしよう。
なお,今回応募したギルドの中には,書類の不備で落選してしまったギルドも相当いたとのことだ。来年以降参加しようと思っているギルドは,応募前にしっかりと応募要項などを確認しよう。
新ルールのポイントは「リニューアル」と「消耗アイテム」パーティ構成もがらりと変わり,玄人好みの戦いに!?
今回のRJCのルールは,2010年のコスト制が廃止され,一見すると以前のルールに戻ったような感じを受けるものになっている。しかし,クライアントが2010年7月に行なわれたリニューアル後の仕様となっており,キャラクターやスキルの取得内容に大きな変化があらわれたようだ。
今回の基本的な構成は,パラディン/ハイプリースト/ハイウィザード/アサシンクロス/プロフェッサー/クリエイター/クラウン(以下,これを鉄板構成とする)で,チームによってはジプシーやチャンピオンを入れるところもある。印象的なのは,チャンピオンやロードナイト,チェイサーを使うギルドが激減していることだ。阿修羅覇凰拳などでドカンと一発狙うような派手な戦いはなりをひそめ,状態異常付きのアローシャワーを放って相手の様子を伺い,ソウルブレイカーで削っていくといった玄人好みな戦いが繰り広げられていた。
消費アイテムの都合上,1試合中7回までしか繰り出せない虎の子のアシッドデモンストレーションをどう使うかが,勝敗を分ける鍵となったようだ。
ガンスリンガー,忍者,スーパーノービスも参戦となったが,実際のところあまり姿は見られなかったらしい。実戦投入するには,時間が足りなかったということなのだろうか。リニューアル仕様になったためか,予選ブロック中にはトラップを撒きまくるスナイパーもいたとのことだ
決勝戦で使われたマップではあまり長期戦は見られなかったが,新マップのクロスやホールでは,障害物を挟んで睨み合う状況が結構あったらしい。ただ,そんなマップでも実力派のギルドは,ものの数秒で相手ギルドを倒すことも
毒薬の瓶やアシッドボトルなど一部のものを除き,消耗品の入手が無制限になっている。だが,入手できる回復アイテムは制限されており,多少物足りなく感じていたギルドも多かったようだ。
また今回の予選は,昨年までの一発勝負とは異なり,3本勝負の2本先取が勝利条件となっている。トラブルで不本意な結果になってしまったり,ラッキーパンチで勝ち負けが決まったりすることが減り,実力を出し切れるようになったと参加ギルドからは好評だった。
今回は各ギルドごとに控え室が用意されている。前回,控え室で相手ギルドの構成を見て自ギルドの構成を変えるといったこともあったため,今回は個別にしたとのことだ
白熱した戦いが繰り広げられた予選ブロック決勝戦。古豪に混じり,新たなギルドもRJC決勝へ
それでは各予選ブロック決勝の模様を紹介していこう。取材用に用意されたモニターの都合上,すべての決勝戦を観戦できず,少し飛び飛びのレポートになってしまっているので,その点はご了承願いたい。
なお今回の取材開始時には,すでにAブロックとBブロックの決勝が終わっており,Aブロックは「anomie(Urdrワールド)」,Bブロックは「Dramatically Defeat Sky(Verdandiワールド)」がRJC2011の切符を手にしている。
Aブロック決勝戦「チームRC」vs.「anomie」
Bブロック決勝戦「Tiny Voice」vs.「Dramatically Defeat Sky」
■Cブロック決勝戦
■「Jumpin' Now!(Nornワールド)」vs.「Dark Horse(Irisワールド)」
第1試合で勝利した「Jumpin' Now!」に,後がなくなった「Dark Horse」がどう対抗するかが注目の第2試合。「Jumpin' Now!」は鉄板構成だが,「Dark Horse」はハイウィザードの代わりにジプシーを入れる構成だった。
試合が始まり「Dark Horse」はマップの左上から進むものの,中央付近にランドプロテクターを設置して姿を消した「Jumpin' Now!」の所在が掴めない。そこへ背後から近づいた「Jumpin' Now!」が攻撃をしかけるが,なんとか一定の距離を保つことに成功して反撃の機会を狙う「Dark Horse」。しかし,「Dark Horse」は,パラディンが落とされたことを切っ掛けに,じわじわと各個撃破される。そのまま削りきった「Jumpin' Now!」が2勝目を手にし,Cブロックの代表の座を射止めた。
■Dブロック決勝戦
■「Patissier(Bijouワールド)」vs.「+Nirvana+(Freyaワールド)」
RJC/RWCの解説でお馴染みの,ガンホー 中村聡伸氏をして魔のブロックと言わしめた,注目のDブロック決勝戦。「+Nirvana+」は,RJC決勝戦の経験ギルド「Rampage...(TIAMETワールド)」「Penrir(FENRIR)」,RWC2010の日本代表ギルド決定戦まで勝ち進んだ「Northern Code」といった,並み居る強豪を下して決勝まで登り,強豪「Patissier(Bijouワールド)」との決戦となった。
「Patissier」は,パラディン/アサシンクロス/チャンピオン/忍者/クラウン/プロフェッサー/クリエイターという超攻撃編成。対する「+Nirvana+」は,鉄板構成だ。試合が開始されると,飛び出すように中央へ躍り出た「Patissier」が「+Nirvana+」を迎え撃つような形となった。ストームガストとアローシャワーが飛び交う中「Patissier」が押し切るかと思いきや,突出した「Patissier」のパラディンが落とされ,一気に流れが「+Nirvana+」に移る。そのまま立て続けに「Patissier」が倒されていき,「+Nirvana+」が1戦目を勝利した。
その後,第2試合はそのまま「+Nirvana+」が2勝目をあげ,本戦への出場権を手にした,DarkBlood RMT。
■Eブロック決勝戦
■「Greensleeves (Irisワールド)」vs.「無口でクールな男達(Saraワールド)」
どちらも鉄板構成で挑む,Eブロック決勝戦 第1試合。しかし,何があったのか「無口でクールな男達」はパラディンを欠いており,人数的にも防御能力的にも不利な状態で試合が開始された。試合開始直後,中央へ突っ込む「Greensleeves」だが,そこに「無口でクールな男達」はおらず,上か下のどちらからかを回って背後に現われた「無口でクールな男達」。左右に場所を入れ替える形で,本格的な戦闘が始まった。
しかし,やはり1人とはいえ人数差の壁は厚く,回復アイテムを連打してしのぐものの,あえなく「無口でクールな男達」は破れ,「Greensleeves」が勝利した。
続く第2試合は,怒濤の進撃を見せた「Greensleeves」が,「無口でクールな男達」を秒殺。Eブロックを制した。
■Fブロック決勝戦
■「くまー将軍(Bijouワールド)」vs.「うさぴょん大行進(Freyaワールド)」
奇しくも動物名ギルド同士の決勝戦。勝つのはクマかウサギのどっちだ。
第1試合を勝利した「くまー将軍」は鉄板構成,「うさぴょん大行進」はハイウィザードの代わりに,ジプシーを入れる構成だ。第2試合がスタートすると「うさぴょん大行進」が中央を一気に駆け抜け,「くまー将軍」のスタート地点付近まで肉薄した。アシッドデモンストレーションが乱れ飛びお互いのプロフェッサーが倒される。
状況的には五分五分だったが,「うさぴょん大行進」のパラディンが落とされたことが切っ掛けとなり,徐々に「くまー将軍」に流れが移る。「うさぴょん大行進」は運命のタロットカードで一発逆転を狙うが,彼らに運は味方せず「くまー将軍」の勝利で幕を閉じた。やはりクマは強かった。
■Gブロック決勝戦
■「citrus(Forsetyワールド)」vs.「それはないける(Lisaワールド)」
どちらも鉄板構成での試合となった,Gブロック決勝戦。試合開始直後から両ギルドはマップ中央で激突し,アシッドデモンストレーションが飛び交う形となった。しかし,早々に「citrus」のクリエイターが倒されたのをキッカケに戦況は一気に傾き,そのまま「それはないける」が勝利を手にした。
第2試合は,開始直後こそマップ中央で膠着状態だったが,今回も「citrus」のクリエイターが倒され,そこから圧倒的な差で「それはないける」が勝利を収めた。
■Hブロック決勝戦
■「Baby Doll(Lokiワールド)」vs.「くま組(Gramワールド)」
トラブルで開始が遅れたHブロック決勝戦 第1試合。どちらのギルドも鉄板構成で,マップ中央付近でぶつかり合い膠着状態に入りつつあったが,「Baby Doll」がハイウィザード,「くま組」がパラディンをそれぞれ倒され,次第に流れは「Baby Doll」に傾いていった。プロフェッサーを中心に何とか立て直そうとする「くま組」だったが,徐々に押されて敗れてしまう。
続く第2試合は,「くま組」が優勢に試合を進める。パラディンとアサシンクロスが倒されたものの,「Baby Doll」の分断に成功。各個撃破を重ねて「くま組」が勝利した。
今決勝では初となる,第3試合目の突入となった「Baby Doll」vs.「くま組」。今回も中央付近で双方が激突し,膠着状態となる。
「Baby Doll」のパラディンが,マグナムブレイクでじわじわと攻め寄るが,その行動に惑わされず「くま組」は「Baby Doll」のハイウィザードとクリエイターを撃破。
その後,「Baby Doll」はクリエイターも倒されてしまい,後退して立て直そうとするがスパイダーウェブでそれを阻まれてしまう。なんとか「くま組」のクリエイターを倒し一矢報いた「Baby Doll」だったが,数的不利を覆すことはできず,「くま組」が勝利しHブロックを制覇することとなった。
決勝トーナメントは6月に開催
勇気ある戦いを見せて欲しい
予選ブロック決勝戦がすべて終わり,各ブロックの代表ギルドが決定した。勝ち残ったギルドは,以下のとおりだ。
Aブロック anomie(Urdrワールド)
Bブロック Dramatically Defeat Sky(Verdandiワールド)
Cブロック Jumpin' Now!(Nornワールド)
Dブロック +Nirvana+(Freyaワールド)
Eブロック Greensleeves (Irisワールド)
Fブロック くまー将軍(Bijouワールド)
Gブロック それはないける(Lisaワールド)
Hブロック くま組(Gramワールド)
お馴染みの常連ギルドが多数残っているが,その中に「それはないける」や「anomie」「くま組」といった比較的新しいギルドが名を連ねているのが頼もしい。古豪ギルドとどういう戦いを繰り広げることになるか,決勝が楽しみだ。個人的には「くまー将軍」と「くま組」による頂上くま決戦を見てみたい気もする。
最後に各ギルドのコメントを紹介しよう。
■Aブロック代表 anomie(Urdrワールド)
「入り組んだMAPは難しくて苦労しましたが,工夫して自分達にあった戦い方を見つけることができてよかったです。GvGではソウルブレイカー主体で戦っているので,今回の仕様はうちにとって有利だったかもしれません。優勝して,ぜひボスカードを持ち帰ります!」
■Bブロック代表 Dramatically Defeat Sky(Verdandiワールド)
「予選の3試合制はこれからもぜひ続けて欲しいですね。決勝トーナメントではやれることをやって,震災後の日本を盛り上げるように楽しくできたらいいと思います」
■Cブロック代表 Jumpin' Now!(Nornワールド)
「毎回ルールが違うのはいいんじゃないですかね。ルールを知りその作戦を立てるのが楽しいです。優勝して『ロボコン決勝出場?(^呉^)?かばやしと愉快な仲間達』を流行らせたいと思います(笑)」
■Dブロック代表 +Nirvana+(Freyaワールド)
「かなり強豪が多いブロックでしたので,そのなかで2年連続決勝トーナメント進出できたのはとても嬉しいです。消耗品が無制限になり毎試合全力で戦えるようになったので,実力勝負になる部分も大きかったと思います,戦国IXA RMT。去年のRJC決勝トーナメントでは参加人数が足りずに苦しい構成で1回戦負けだったので,今年こそは,フルメンツで挑んで優勝を目指します!」
■Eブロック代表 Greensleeves (Irisワールド)
「今年は今までとルールが大きく違い,勝手が分からないこともあるので今まで以上にどの職業構成の相手にも勝てるように気をつけました。絶対優勝するので応援よろしくお願いします」
■Fブロック代表 くまー将軍(Bijouワールド)
「勢いならどこにも負けません! 攻めて攻めて攻めまくるのがうちの方針ですから! あと,可愛さとアドリブ力も! 昨年は一回戦で敗退してるんで,今年はそれ以上の……やっぱ優勝を目指します!
■Gブロック代表 それはないける(Lisaワールド)
「RJCに初めて出たんですが,ここまでこられると思ってなかったので,すごくうれしいです。勝ちたいという気持ちもありますが,一番大事なのはみんな楽しめる思い出に残るようなそんな試合ができればいいと思います。でも,神器も持って帰りたいです(笑)」
■Hブロック代表 くま組(Gramワールド)
「まさか決勝に進出できるとは思っていませんでした! 用意してくださった練習会場ではボロ負けでしたので! 決勝は,参加できないメンバーのためにもがんばります!」
今回行われた決勝戦は,当初2011年3月12日に予定されていたものだ。しかし,3月11日の柸毡敬笳馂膜斡绊懁摔瑜辏悠冥趣胜盲皮い俊¥蓼浚琑JC2011の優勝決定戦が行なわれる「ガンホーフェスティバル2011」も6月4日に延期され,開催会場は柧━鹰氓哎单ぅ趣椋钎%榨∮忻鳏藟涓丹欷皮い搿Q勝トーナメントに残ったギルドのメンバーも,震災後はあまり練習できなかったと口々に語るように,プレイヤー自身への震災の影響も少なくはない。
出場するギルドのプレイヤーには,ぜひとも震災の影を吹き飛ばすような,観戦したプレイヤーに勇気を与えるような,熱い試合を期待したい。
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