ゲームオンがサービス中のオンラインFPS「」(以下,AVA)では,
「アップデート?トリロジー2012」が4月25日から段階的に実施される。第1弾となる システムエボリューション(システム改変)と爆破モード用マップASLANが4月25日,護衛モード用の新マップBLACK HAWK(護衛モード用)が5月9日,脱出モード用の新マップE-SPACEが5月23日に実装される予定だ。
今回は,これまでの定石が一変する可能性を秘めているという システムエボリューションについて,運営プロデューサーの井上洋一郎氏が進行役となり,AVAの国内大会ではお馴染みのトップクラン「Sunsister」所属の「CherylNome」(しぇりるのーむ)氏と,「DeToNator」所属の「Dark よっぴー」(だーく よっぴー)氏に感想を語ってもらった。
なお,新マップについても語ってもらっているだが,それは別記事としてお届けする予定だ。
CherylNome氏(左),Dark よっぴー氏(右),ドラゴンクエスト10 RMT。ともに輝かしい戦歴を誇っている。なお,今回の取材にあたり,両氏は新バージョンをプレイ済みだ | |
CherylNome(しぇりるのーむ)氏
所属クラン:SunSister
AVA International Championship: 4位
AVAれ祭り2011 後楽園ホール-冬の陣-: 優勝
公式大会AVARCT4爆破部門2次予選: 1位
IeSF 2011 World Championship: 準優勝
AVAれ祭り2011 大阪-夏の陣-: 優勝
公式大会AVARCT3爆破部門2次予選: 1位
AVAれ祭り2011 秋葉原-春の陣-: 準優勝
公式大会AVAET護衛部門2次予選: 2位
公式大会AVAET爆破部門2次予選: 1位
AVAれ祭2010 表参道ヒルズの陣: 準優勝
公式大会AVASS爆破部門2次予選: 1位
Dark よっぴー(だーく よっぴー)氏
所属クラン:DeToNator
AVAれ祭り2012 ?????????-春の陣- 護衛部門 : 優勝
AVAれ祭り2012 ?????????-春の陣- 爆破部門 : 準優勝
AVARST Season1 護衛トーナメント 2次予選 1位
AVARST Season1 爆破トーナメント 2次予選 1位
AVAれ祭り2011 大阪-夏の陣-: 準優勝
AVARCT Season3 爆破トーナメント 2次予選 1位
AVAAF 護衛部門 : 優勝
E-Sport2009 IeSF国際リーグ : 準優勝
AVA 戦車でGO!! : 優勝
AVA Korea-Japan League : 準優勝
AVAれ祭り2009 -春の陣- : 優勝
グローバルチャンピオンシップ日本代表2次予選 : 1位
システムエボリューションのポイント1 兵種別スキル,アイテムスキルの追加
システムの改変は3つに大きく分けられる。1つ目が兵種ごとのスキル追加と,新アイテムスキルの販売だ。各スキルの概要は下記の通り。
●兵種ごとのスキル追加
?ポイントマン:
急襲熟練 後方攻撃時のダメージ増加
サプレッサー熟練 サプレッサー装着状態でゲーム開始
上級移動熟練 足跡の音減少
?ライフルマン:
マガジン熟練 装弾数+1
投擲熟練 投擲ディレイ減少
投擲熟練II 煙幕弾個数+1
?スナイパー:
SR上級熟練 照準状態ですぐにスプリント可能
SR上級熟練II 非照準状態でクロスヘア(照準)露出
SR上級熟練III 照準時の正確度向上
なお,兵種スキルはバトルポイント(BP)で購入可能だ。有効期間によって価格が異なり,7日間で180BP,15日間で320BPで販売される。
井上洋一郎氏(以下,井上氏): ポイントマンには,敵を後方から攻撃したときのダメージを上げるスキルを追加します。ダメージが劇的にアップするわけではないですが,敵を背後から襲撃しても倒しにくかったという点を改善しています。
Dark よっぴー氏: 後方からのダメージが増えたのは,単純にありがたいですね。といってもほんの少しなので,意識するほどではないと思います。
井上氏: また,最初からサプレッサーを装着した状態でスタートできるようにしました。サプレッサーを脱着できる武器を使えるのはポイントマンだけですので,その特徴をより前面に出すという意味合いがあります。
Dark よっぴー氏: サプレッサーの装着にはある程度の時間がかかりました。ですが,アップデートによって最初から装着している状態を選択できるようになるので,サプレッサーの使い勝手が大きく向上します。ポイントマンをやるなら,このスキルは必ず持っていたいといえるくらい,効果は大きいと思います。
井上氏: ポイントマンの追加スキルはもう一つあって,足音を聞こえづらくさせるものを用意します。もっとも,敵に聞こえる距離は今までと変わらないのですが,確実に聞こえにくくなります。
Dark よっぴー氏: 確かに聞こえづらくなっていたので,ポジションを変更するときに,足音で動きが察知されにくくなるのはいいですね。
CherylNome氏: 足音の聞こえ具合でどこにポイントマンがいるとかを判断するので,この変更は大きいです。
Dark よっぴー氏: 「さっきまで2にいたのにもう1にいる!」なんていうことが起きるのではないでしょうか。
CherylNome氏: ポイントマンはかなり強くなるという印象ですね。
井上氏: 一方ライフルマンは,マガジン内の弾が1発増えたり,手榴弾を投げるときのディレイが減少したりと,ちょっと地味めのアップデートですが,大事な改善です。こちらについてはいかがですか。
Dark よっぴー氏: 持てる煙幕弾が1個増えるのは嬉しいです。やっぱり,あればあるほど助かりますし。個人的には投擲後に武器を構え直すまでのディレイが短くなるスキルと,マガジン内の弾薬が1発増えるスキルよりは,煙幕弾を増やすスキルに注目していますね。
井上氏: では,スナイパーはどうでしょう。ストッピング(移動方向とは逆方向に移動キーを入力することで素早く立ち止まり,照準のブレを抑えるテクニック)がやりやすくなります。古い武器だとストッピング後も着弾点がバラけやすかったのですが,これが改善されるわけです。
CherylNome氏: 今まで扱いづらいといわれていた悚卧u価が変わる可能性がありますね。武器によってストッピングの効き具合に違いがあり,最上位の武器を5とした場合,3とか4に属する悚摔膝攻毪斡绊懁螭い扦筏绀Α¥郡溃F状で5の悚悉ⅳ蓼陦浃铯椁胜い人激い蓼埂?br>
井上氏: なるほど。では,スコープを覗いた状態で走れるものと,クロスヘアが表示されるスキルについてはどう思いますか。
CherylNome氏: 走った状態でスコープを覗きたいケースは結構あるので,重宝しそうです。機動力が増したといった感じでしょうか。また,照準を常に画面に出せるのようになると,敵を中心に捉えやすくなるので,初心者でもスナイパーが使いやすくなると思います。ただ,スナイパー使いとしては,このアップデートによって腕の差が出しづらくなるので,手放しでは喜べないですが。
井上氏: 続いてアイテムスキルに話を移します,
rmt。
●アイテムスキル
?殲滅リスポーン時間短縮,無敵時間増加(JEWEL販売)
?RPGリロードと戦車修理の時間短縮(BP販売)
?C4設置及び解除の速度増加(BP販売)
殲滅ミッション用のアイテムスキルは,リスポーン時間の短縮と無敵時間の増加を用意しました。
リスポーン時間が短縮することで倒されたあとの待ち時間が減ります。また,無敵時間を増加できるスキルが追加となったので,敵に前線を掌握されて,手も足も出なくなるようなケースを回避しやすくなるでしょう。マップの中央付近での戦闘が増えるのではないかと期待しています。また,RPGのリロード時間の短縮は影響が大きいと思いますね。
Dark よっぴー氏: RPGは数本用意しておいて,1発撃っては新しいものを拾い直すというパターンで使っていましたが,それをやらなくてもいいぐらいにリロード時間が短くなりますね。1本だけで間に合うかもしれません。
CherylNome氏: いままでは,RPGボックスの近辺からRPGを撃つということが多かったです。ですが,リロード時間が短縮されて1本でやりくりできるようになれば,RPGを撃つポイントが変わるでしょうね。
Dark よっぴー氏: そうなると,RPGを持ったプレイヤーを倒し,その隙に戦車を修理するのが難しくなるかもしれません。
井上氏: 戦車を修理する時間も短縮できるようになります。これは,護衛モードの醍醐味である「戦車の破壊と修理」というサイクルのテンポを良くする狙いで実装します。
また,C4の設置と解除に必要な時間も短縮しています。このスキルを利用すると,これまでは4秒ほどかかっていたC4の設置が,約2秒に短縮されます。解除には8秒かかっていましたが,スキルを使うと約7秒になります。約1秒という差ではありますが,C4を設置したあとの攻防に差が出るのではないかと期待しています。
Dark よっぴー氏: C4の設置時間は思っていた以上に早くなっているので,設置音を聞いてから詰めてみても,設置が完了していそうです(※1)。
※1 C4爆弾を設置し始めると「カチッ」という音が鳴り響くため,防衛側には合図として利用されている井上氏: 設置音を聞いてから投擲物で邪魔をするといった戦法が有効ではなくなるかもしれないですね。
CherylNome氏: ええ,味方がC4爆弾を設置している最中はカバーしないといけなかったのですが,その必要がなくなるかもしれません。それくらい短くなると感じましたね
井上氏: では,解除時間はどうでしたか。
CherylNome氏: 以前とそこまで差がないと思います。
Dark よっぴー氏: ですね。ただ,今までは解除までの時間を頭の中でカウントして飛び出していましたが,スキルを持っている/いないによって時間が変わるので,そのやり方を変える必要がありそうです。
システムエボリューションのポイント2 投擲武器の進化
システムエボリューションでは,投擲武器も変わる。XM48Hakuen,既存の煙幕弾すべて,さらにM116A1閃光手榴弾の販売が中止され,M18RedII/GrayIIとM116A1閃光手榴弾IIが新たに発売されるのだ。M18RedII/GrayIIには赤色と灰色があり,XM48Hakuenよりも持続時間が短くなっている。また,M116A1閃光手榴弾IIは,M116A1閃光手榴弾の進化版という位置づけのアイテムだ。以前は閃光が発生するだけだったが,IIを使われると「キーン」と鳴り響き,ほかの音が遮断されてしまう。
井上氏: 投擲武器の仕様変更は,煙幕弾と閃光手榴弾の進化を目指しました。XM48Hakuenの販売を中止するのは,強すぎたからです。また,4色ある煙幕はほとんど使われていなかったので,こちらもなくします。
新たに追加するM18RedII/GrayIIは,名前のとおり赤と灰色を用意しています。GrayIIはXM48Hakuenと同じ色ですが,M18RedIIは赤く発煙します。煙幕越しでも,照準が敵を捕捉するとキャラクター名が赤く表示されるので,それを見えづらくするものとして赤色も用意しました。また,煙が出ている時間を短くしました。これまでのバージョンですと,どこかでずっと煙幕が出ているということがありましたからね。
CherylNome氏: とはいえ,投擲武器は2個持てるので,結果的にXM48Hakuenの1個分の使い方はできるのかなと思います。投擲後に間を取ってから再度投げるといった感じで。
Dark よっぴー氏: クランによっては2個持つことで,これまでと同じ戦い方をする可能性もありますが,閃光手榴弾を活用するかもしれません。
CherylNome氏: 強いポジションに投げ入れて,その隙に展開するというスピードある戦いが増えそうです。
Dark よっぴー氏: 投げる側よりも,投げられる側のほうが考えることが多いと思いますよ。いいポジションにいると確実に投げ込まれると思うので,これまでと配置を変える必要が出てくるでしょうね。
井上氏: 新たな投擲武器によって,交戦ポイントが変わるかもしれません。また,戦い方のパターンも増えるので,国ごとに違った流行が生まれそうです。国際大会がさらに楽しみになりますね。
システムエボリューション ポイント3 クラン戦チームマッチング
システム改変,3つめのポイントは,クラン戦チームマッチングの実装だ。いままではクラン戦をやろうとしても,メンバーが揃わないと遊べなかったが,チームマッチング機能によって不足分を補えるようになる。また,対戦終了後には抽選が行われ,褒賞としてアイテムかBPが手に入るという。
井上氏: これはクラン戦を遊びやすくして,クランコミュニティを活性化させることを狙って準備しました。
クラン戦は5対5か8対8が主流なんですが,ログインしている仲間が3人しかいなくて参戦できなかったり,5対5を遊ぶときに3人あぶれてしまったりと,人数調整が問題になることが多かったんです。クラン戦マッチング機能を使うと,ほかのクランメンバーに助っ人として参加してもらうといったことが可能になり,クラン戦が成立しやすくなります。
CherylNome氏: クラン戦が遊びやすくなるのは嬉しいですが,戦況によっては対戦中にやめてしまう人がいそうです。クランメンバー同士であればそういったことは事故以外にないんですが……。
井上氏: その可能性は否定できませんが,勝敗に関わらず最後にアイテムやBPがもらえるので,最後まで戦い切ってほしいですね。
Dark よっぴー氏: 人によっては戦績に“負け”がつくのを嫌って,途中で投げ出すかもしれないですね。
CherylNome氏: そういった可能性はありますが,うまい人を自分達のクランに入れるきっかけになるかもしれません。
井上氏: クラン入隊用に面接や実力テストをやっている人達もいますので,そういった場面でもこのシステムを活用してもらえると嬉しいですね。報酬も手に入りますし。
Dark よっぴー氏: その使い方は面白そうです。一緒に戦ってみて分かることもありますし。
CherylNome氏: 場合によっては,引き抜き合戦になる可能性もありますけどね(笑)
井上氏: クランマスターの取りまとめ能力というか,カリスマ性やコミュニケーション能力が,いままで以上に問われるようになるでしょう。なんにしても,いままで以上にコミュニティが活性化するのは間違いないと思います。
3人の話を聞いてみると,今回のシステム改変はゲームへの影響がかなり大きいことが分かる。根本的な戦い方が変わる可能性があるため,現状でトップクランと呼ばれているところでも,システムの変化についていけないと,その座を維持できない可能性もありそうだ。もちろん,このシステム改変が成功だったのか失敗だったのかは,プレイヤーが決めることになる。実際に遊んでみないことには判断できないので,トッププレイヤーの話を参考にしつつ,自分の目で確かめてほしい。